ソフトバンクモバイルの戦略ミス ~ スーパーボーナス罠の解説

<編集記録>
 ※追記1 サービスに関して訂正追記 (2006年10月12日)
 ※追記2 ショップ聞き込みによる追記 (2006年10月26日
 ※追記3 説明不足部分を補足 (2006年11月06日)
 ※追記4 (2007年初頭)
  お陰様で35000近くのアクセスをいただき、
  更にはブロク記事別ランキングで1位をいただきました。
 ※ 追記5 (2007年03月21日)
  消費者センターに端末ローンに関するトラブルが持ち込まれたニュース
  及び、一部内容に間違いがあったので修正。
<関連ブログ記事>
スパボ一括セール ~毎月の基本使用料が0円になる携帯電話~



経営改善が求められていたソフトバンクモバイル
他社との差別化を図るために打った一手は、
携帯電話端末料金の無料サービスだった。

携帯電話端末料金の無料サービスは、
新プランである「新スーパーボーナス」に
「特別割引」という名で組み込まれている。


その携帯電話端末が無料のサービス。
実は相当の裏がある。

携帯電話端末はもともとインセンティブ(店舗割引)が行われている。
このおかげで我々は、『定価』4万円~6万円する携帯電話端末を
『売価』1~2万円で購入することができる。

この度の携帯電話端末無料サービスは、
インセンティブ後の店舗『売価』ではなく、
インセンティブ前の『定価』を基準にしている。
これが大きな問題なのだ。

どうせ無料になるのならどちらでも同じではないか
と思われるかもしれないが、大きな違いがある。

この無料サービス。
実は、「支払い免除」という意味での無料ではなく、
「支払いを肩代わりする結果無料になる場合もある」と言う意味での無料なのだ。

端末を高額な『定価』で購入することは前提。
あくまで購入した端末の料金をソフトバンクが肩代わりするだけ。

そして肩代わりの方法は、
「2年間の月ぎめ割賦(ローン)」を肩代わりするというもの。

具体例を挙げるならば、
携帯電話端末「705SH」は、定価45000円程度である。
これを0にするのではなく、
あくまで45000円の端末を2年間の月ぎめ割賦で購入したことにし、
割賦支払額(月々1880円)をソフトバンクが肩代わりするというもの。
いわばローンを代わりに支払ってくれるサービス。

式にすると、
『毎月の代金=ケータイ使用料+月ぎめ割賦額-特別割引(=月ぎめ割賦額)』
月ぎめ割賦額が特別割引で相殺され、
『毎月の代金=ケータイ使用料』
となる。

ここである問題が発生する。
あくまでローン過ぎないのだ。
もし割賦購入した携帯電話端末が、
期間満了の2年に満たない間に海に落ちて壊れたとしよう。
これはローンが残っている家が台風で倒壊したのと同じで、
購入した以上、割賦はとうぜん2年間はきっちりと継続する。
では、端末料金の肩代わり(特別割引)も継続するのだろうか?
端末を無料にする気があるのなら、当然継続するはずである。

しかし、継続はしない。

ソフトバンクは端末を無料にする気はない。
所詮は条件内でのローンの肩代わり。

あくまで端末料金を2年間継続して使用することを条件に
ローンを肩代わりするだけなのだ。
その条件から外れた以上、サービスを継続する気はない。

では携帯電話端末は既にないのに割賦(ローン)の残金を
今後は自力で払い続けることになるのか?

答えは、YES。

ソフトバンクによるローン肩代わりがなくなったので、
以降はローン残金を契約者自ら支払わなくてはならない義務が発生する。
なお、支払いの方法には分割支払いと一括支払いがある。


このことは、新スーパーボーナスの説明ページに
物凄く小さな字で書いてある。


> 契約変更/買い増し/解約/機種変更をされる際に
> 新スーパーボーナス用販売価格の残金が存在する場合は、
> 残金をお支払いただきます


たとえば、
先ほどの「705SH」(端末料金45000円程度)の場合、
例えば12ヶ月目で端末継続違反をしたら、
45000円-(1880円×12ヶ月)
=22500円
の違約金が発生するということなる。

これがローン残金となり、支払い義務が発生する。
分割で支払う場合は月々1880円ずつ残り12ヶ月の支払い。
一括で支払う場合は、22500円を一括支払い。


※追記3 割賦で端末費用が全額肩代されない場合もある。
特別割引の割賦割引額は月2,280円が上限である。従って、2,280円×24ヶ月=54,720円が端末価格の上限となる。しかし、現在、この金額を越える端末が発売されている。その最もたるものが「X01HT」である。なんと定価71,260円。しかしあくまで割賦額の上限は月2,280円。合計金額54,720円。差額の16,560円はいったいどうなるのかと言うと、それが頭金である。旧スーパーボーナス時に加入時端末10,500円割引と銘打ってたのはこの頭金を割り引くという意味だったのである。新スーパーボーナスからは頭金という制度は廃止された。
では頭金に相当する額はどこに行ったのか?なんと月々の割賦支払金に上乗せされたのである。「2,280円×24ヶ月=54,720円」で収まる範囲の端末ならば端末は全額割賦肩代の範囲で済む。しかし、定価54,720円以上の端末ならば、差額の頭金分を割賦支払金として上乗せ、つまり毎月支払わないといけないという訳だ。例えば、前述した「X01HT(定価71,260円)」ならば頭金分16,560円を24ヶ月で分割して割賦支払金として上乗せする。つまり、16,560円÷24ヶ月=690円。月々690円を更に請求される。当然、頭金も端末価格の一部であるから、途中解約等によるローン肩代の条件違反が発生すれば、残金支払い請求がなされる。



更に、上記の引用に書いてあるように端末継続違反は、
> 契約変更/買い増し/解約/機種変更をされる際
と4パターンもある。

なんと機種変更まで含まれるのだ。
機種変更に至るケースはいろいろある。
中には、加入者にまったく落ち度がないが端末が全損した場合も含まれる。
いわゆる天災や事故被害である。
その場合でも機種変更には代わりなく、端末継続違反になる。
それが2ヶ年以内であれば違約金が発生する。

※追記2
ただし、新スーパーボーナスと同時加入が必須である「スーパー安心パック」の中の1サービスである「セーフティリレー」を使用すれば、全損でも継続する。セーフティリレーとは、端末が全損した場合に端末定価の3分の1程度の金額(15000~20000円程度)で、同機種の再購入ができるシステム。全損の場合、この金額を支払って継続するか、違約金を支払うかの二択となる。


ここら辺の説明は新規加入のときには詳しくはなされない。
せいぜい
「二年以内に違約なされた場合は違約金をいただきます」
程度の説明だろう。

一体ソフトバンクモバイルは何がしたいのかと言えば、
それは一重にインセンティブ(店舗割引)の廃止だ。
携帯電話端末の店舗割引は、自社加入者を増やすため、
キャリア(携帯電話の通信サービスを提供している会社)が負担する。
店舗割引を放棄すれば、その分、経費削減になる。
その経費削減分を料金プランに還元するとの話だが定かではない。

この問題は確実に苦情が発生する。
他社では違約金が数万円にのぼるような制度は存在しないからだ。

ソフトバンク側の利点は、2年間の拘束と端末経費削減。
加入者側の利点は、携帯電話端末費用の肩代わり

とは言え、
もともと店舗加入では端末費用は数千円~2万円程度だった。
端末費用の『定価』肩代わりなんか誰も求めてはいない。
この戦略は明らかにソフトバンク側に利点が集まりすぎている。
確かに経営を立て直すという視点からは、
このような強行策も求められているのかもしれない。
だが、今のソフトバンクに求められているのは、
まず第一にイメージの回復である。
良心的な価値を打ち出すことでしか、もう他社とは戦えない。
この策は、自らの首を絞めているようにしか思えない。

━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━
追記5(2007/03/21) 「その後の話」

画像


>「持ち帰り0円」の携帯が解約で六万円に-。
> 携帯電話のソフトバンクモバイル(孫正義社長)の店頭で、
>「全機種0円」などの表示を見てクレジット契約をした消費者から
>「解約を申し込んだら多額の電話機代を要求された」とする苦情が、
> 兵庫県神戸生活創造センターに相次いでいる。
> 同センターは三十日、「消費者を惑わす表示」として
> 同社に取引方法の改善を要望した。(神戸新聞 WEB NEWS 2007/01/30)



新スーパーボーナスの特別割引(ローン支払いの肩代わり)制度が複雑であり、
近い将来、販売員の説明が不十分なケースで問題が発生する。
そう私が予想したのが、スーパーボーナスが発足した昨年の10月中旬。

案の定、今年に入って問題が表面化してきた。
上記で引用したニュースがそうだが、しかしこれはまだ神戸だけの話。
全国的には数多くの相談が消費者センターに寄せられていると考えられる。

ソフトバンクモバイルという会社は実に合理主義で動いている。
収益のためには日本社会には馴染みにくいダーティーな手法すらも厭わない。
行政指導を受けかねない触法ギリギリのグレーゾーン約款を作成し、
怒り心頭で行動してきた者(訴えてきた者)には和解して補償をし、
その分、他の者から利益を上げる。
プラスとマイナスを計算すれば、プラスの方が多く残る計算になる。
これは言わば、週刊誌などが名誉毀損記事で売り上げを確保し、
その打ち上げのほんの一部で慰謝料を支払うような手法。

彼らは本当に日本人の性質と日本の司法制度をよく理解している。
アメリカでは通用しないだろうが、日本人には効果的だ。
日本人はそもそも行動を起こさない。
そして、日本の裁判所は実に敷居が高い。
一般人は被害が数万円程度ならば「勉強になった」といい泣き寝入る。
心理的負担や経済的負担を考えればそれが一番賢いからだ。
そんな消費者心理まで計算に入れて、規約・約款を作成している。
あまりに日本人には馴染み難い、情の入らない合理主義である。


"ソフトバンクモバイルの戦略ミス ~ スーパーボーナス罠の解説" へのコメントを書く

お名前
メールアドレス
ホームページアドレス
コメント